大規模3Dプリントビジネスへの参入

過去10年間で3Dプリンタは急速に進歩し、航空宇宙産業から自動車産業など、あらゆる業界で革新的な解決策を生み出してきました。最も重要な進歩の1つは、大規模なオブジェクトの製造を実現する大規模3Dプリンタです。

この技術の利用で完全にデジタル化されたプロセスチェーンにおける機能的で複雑なデザインが実現し、建築、エンジニアリング、製造等の分野で新たな可能性が広がります。

大規模3Dプリンタの進化は、創造、設計、革新の方法に今までにない変化をもたらすでしょう。ビジネスを変える大規模3Dプリントの性質、また、どのような恩恵もたらしてくれるのか見てみましょう。

大規模3Dプリントとは？

大規模3Dプリントとは、従来の3Dプリント技術よりもはるかに大規模な3次元オブジェクトを作成するプロセスです。数フィートの大きさのオブジェクトを作成できる大型3Dプリンタを使用します。

大型3Dプリンタは通常、大型、複雑で入り組んだ部品の製造に使用され、航空宇宙、建築、自動車製造などの業界で広く利用されています、

大規模な3Dプリンティングは、従来の製造方法よりも精密かつ耐久性があり、効率的な部品の製造が可能です。さらに、生産時間の短縮、他の製造技術では難しい複雑なデザインを作成できるという利点もあります。

大規模3Dプリント導入時に考慮すべき点

自動車部品や航空宇宙分野の部品をプリントするには、大規模な3Dプリンタが必要です。大判の3Dプリンタを使用する場合サイズは考慮すべき重要な要素ですが、特に大規模な3Dプリントを行う場合他にも考慮すべき要素があり、それは以下のようなものです：

• 安全性：換気、個人用保護具、火災安全対策が使用され、遵守されていることを確認するなど、安全性に配慮する必要があります。
• プリンタのコスト：巨大な3Dプリンタが、コスト効率はもちろんの事、組織特有の要件を満たすことも不可欠です。例えば、プリンタは機能的なプロトタイプから金型やパターンまで、あらゆるものを製造できなければなりません。
  巨大3Dプリンタのコストは、サイズ（1立方メートルのものもある）などの要因によって大きく異なります。
• 材料費： 使用する材料の種類と品質は、全体的な製造コストに影響します。したがって、用途に合うだけでなく、品質と耐久性を備えた高品質の材料を選ぶことが重要です。例えば、航空宇宙分野の部品製造には、高強度ポリマーがよく使用されます。

出典 3DNatives

• ユニボディ部品：一般的に大きな物体は従来の組み立て方法で製造されています。しかしこのような物体は、単一のソリッドピースとして製造した方が優れた性能を発揮する可能性があり、それを実現できるのは大規模３Dプリンタのみです。
• 設計の自由度：従来の製造方法では、複雑な格子構造や内部の管など、特定の形状を作成することが難しい場合があります。このような構造は、家具のような大きな物体で使用されていることが多く、巨大な3Dプリンタを使用することでしか実現できません。
• プリンタのメンテナンス - 巨大な3Dプリンタを定期的にメンテナンスすることは、プリンタの寿命と信頼性を確保するために不可欠です。大規模な3Dプリントを導入する際には、部品やサービスを含むメンテナンスのコストの考慮が大切です。

大規模3Dプリントの4つの例

橋の建設から自動車全体のプリントまで、大型3Dプリンタは新たな可能性を生み出し、この技術の用途は無限に広がっています。

ここでは、大規模3Dプリンタがどのように利用されて、実際に今日のビジネスをどう変革し、設計や製造への取り組みを変えているのか、いくつかの例を紹介します。

• 家具： 家具に3Dプリンタを使用することで、耐久性と機能性を兼ね備えた、複雑で軽量なデザインが実現します。
• 建築: 建築家は、大型3Dプリンタを使用することで、建築物や構造物のモデルを高い精度で作成できるため、設計の視覚化が容易になり、建設前に変更を加えることができます。 
• 芸術と彫刻 : 芸術家は、複雑なデザイン、複雑な彫刻、およびインスタレーションの作成に大型3Dプリント技術を使用します。
• 自動車製造：大型の産業用3Dプリンタは耐久性があり軽量で、特定のモデルに合わせた複雑な自動車部品の製造に使用できます。
• 航空宇宙： 大型3Dプリンタは、高強度複合材で造られた航空機部品の製造を実現します。
• 海事： 海事分野では 3Dプリントの柔軟性が受け入れられており、造船で使用される大型部品から海上でのメンテナンスまで、あらゆる用途に3Dプリントが使用されています。

出典: TCT Magazine

大規模3Dプリントに使用されるプリンタの種類

大規模3Dプリントに使用される3Dプリンタには、以下のような種類があります：

• 光造形法 (SLA): コンピューターによって制御されたレーザービームが、レーザー反応性ポリマーによって徐々に造形されます。
• デジタル・ライト・プロセッシング法 (DLP): SLAと機能は似ていますが、DLPでは代わりに投影光を使用してレイヤー全体を形成します。
• 選択的レーザー焼結 (SLS): レーザーで粉末を溶融・融合させ、工程を進めながら積層します。
• 熱溶解積層方式 (FDM): ノズルからポリマー繊維を噴出させて造形します。 

これらのプリンタは、造形量、使用材料、後処理が異なるものの、いずれも大規模な印刷物を製造することができます。さらに、大判3Dプリント専用に設計された専用プリンタもあり、ガントリータイプのプリンタでは、最大数メートルの大型パーツをプリントできます。

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