2023 1.0では、多面体モデリングの導入、
製造業の自動化と相互運用性の更なる拡張、
部門を超えたコラボレーションの強化などを
ご紹介します
リリースのハイライト
ACIS Polyhedra を利用したACISアプリケーションでのメッシュデータ処理
メッシュは、医療、歯科、芸術デザインなどの有機的な形状を扱うワークフローや、建築、エンジニアリング、建設(AEC)、プラント・船舶設計などの大規模なデータセットを扱うワークフローで汎用されています。また、メッシュは従来のCADワークフローや、ロボット工学、コンピュータ支援製造、積層造形などの製造業においてもますます利用されるようになってきています。
ACISベースのアプリケーションでは、メッシュのインポートとクエリ、必要とされるヒーリングとデシメーションの実行、メッシュボディの作成、インポートしたメッシュボディに対する統合や除去などの基本的なブーリアンを実行できるようになりました。これらの機能はACISをメッシュの領域にまで拡張し、更に様々な種類の幾何学的データに対する柔軟性や性能を提供します。
例えば、ACISに対応した歯科用アプリケーションでは、口腔内点群スキャンから歯肉と歯のメッシュをインポートし、隙間や不正確な法線などの異常をメッシュにクエリし、それをヒーリングして、歯肉と歯のメッシュを1つのモデルに統合するなど、下流のブーリアンを実行することが可能になりました。
中間面生成のための対称形状の自動検出
2023 1.0では、ACISが中間面生成のための対称形状の検出を自動化しました。これにより、最近リリースされたミッドサーフェス・オペレーターの使い勝手が向上し、より効率的なCAEワークフローを実現します。
光線照射の性能の向上 - 100倍速くなりました!
さらに、ACISの光線照射の性能は、今回のリリースで飛躍的に向上しました。マルチスレッドと光線照射により、光線照射のワークフローは前バージョンに比べ最大100倍高速化されました。複数の光線を照射し、パフォーマンスが非常に重要な光学設計やロボット塗装のワークフローにおいてこの性能の向上が非常に役立ちます。
ACIS Polyhedra機能の詳細については、スペイシャルにお問い合わせください。ACIS Polyhedraのウェビナーは来年初頭に開催予定です。
CGM Modeler とCGM Polyhedraで
製造業における自動化を更に強化
2023 1.0では、新機能として CGM Modeler (CGM) と CGM Polyhedra の積層造形ワークフローにおけるサポートの自動作成機能を導入しています。特に、CGMでは、部品とプリントトレイの間のサポートゾーンを自動的に計算し、これらのゾーンに非ソリッドおよびソリッド(ボリュームおよび円錐)タイプのサポートを生成する機能を提供するようになりました。さらに、ワイヤーサポートを作成する既存の機能も更新されました。
これまでもCGM Modelerは、3Dプリントワークフローのためのワイヤーサポートを作成する機能を提供してきました。今回この機能を拡張し、サポートゾーンの計算とボリュームサポートおよび円錐サポートの作成を可能にしました。この新機能により、積層造形アプリケーションの迅速な開発が可能になるだけでなく、ユーザーはより柔軟かつ堅牢なワークフローによって3Dプリント用のパーツを迅速に準備できるようになります。
例えば、自動車用内燃エンジンのコネクティングロッドなど、組み立て部品内の重い部品に代わる最適化された新しい軽量部品について考えてみましょう。コネクティングロッドの製造には、鍛造やフライス加工など、従来の製造方法が採用されています。しかし、この軽量コネクティングロッドには、内部にハニカム格子があるため、3Dプリンターを使う必要があります。
コネクティングロッド ソリッドなものと、軽量化されたもの |
軽量コネクティングロッドを粉末金属からプリントする前に、サポートを追加して準備する必要があります。サポートは、プリント中にパーツを支えるだけでなく、パーツから熱を伝導する役割も果たします。CGM ModelerとCGM Polyhedraは、サポートを追加するプロセスを大幅に簡素化します。
コネクティングロッド サポートゾーン |
まず、CGM Modelerは、部品の外形と印刷トレイの間に予測されるサポートゾーンを自動的に計算します。
次に、このサポートゾーンに基づき、ボリュームサポートと円錐サポートを自動的に作成します。ボリュームサポートは、サポートゾーンの外周と、トレイ上のサポートゾーンと対応する部品面の間のスペースを埋める任意のボリュームです。円錐サポートは、サポートゾーンの外周に含まれ、トレイ上のサポートゾーンと対応する部品面の間に伸びる円錐です。円錐サポートは、直径と間隔を簡単に調整することができ、細かい間隔と粗い間隔の両方のサポートを提供することができます。
ボリュームサポート |
円錐サポート |
3番目に、CGM Modelerはサポートをスライスします。スライス情報はツールパスを計算し、最終的にはパーツをプリントするためのNCコードを作成するため、アプリケーションに伝えられます。
スライスされた コネクティングロッド |
サポートゾーンを計算し、ボリュームサポートと円錐サポートの両方を簡単に作成できるCGM Modeler新機能は2023 1.0のハイライトであり、3Dプリントワークフローの使い勝手を向上させます。
CGM Modelerの3Dプリントアプリケーションのサポート機能の詳細については、担当営業もしくは技術営業にお問い合わせください。また、以下のウェビナーにご登録いただき、AGMを利用した3Dプリントのサポート生成のデモを是非ご覧ください。
CGMの新機能の詳細については、スペイシャルにご相談ください。また、以下のボタンから2種のSDKの詳細をご確認いただくこともできます。
3D InterOpによる製造プロセスの強化
2023 1.0では3D InterOpの新機能として、Creo®ファイルから溶接形状を読み込み、STEP AP242アセンブリファイルからパーツレベルのPMIを読み込む機能を提供します。
溶接設計をインポートすることで、重要な溶接形状やデータを下流のワークフローにシームレスに統合することができます。このデータは、高性能の設計と効率的な製造プロセスを確保し、品質基準に沿って製造パーツの制御と測定を準備するために重要です。
スペイシャルは、モデルベース設計(MBD)とのコラボレーションを引き続きサポートします。STEP AP242アセンブリの部品レベルのPMIを読み取ることで、複雑なアセンブリの高速分析が可能になり、アセンブリ内の個々の部品の製造プロセスが強化されます。
STEP AP242ファイルでコラボレーションを行うアプリケーション・ユーザーは、ビュー、ノート、寸法、GD&T、基本形状への関連付けなどの機能を利用できます。また、アプリケーション・ユーザーには、STEP AP242アセンブリファイルのコスト効率の良い製造プロセスのメリットがあります。
3D InterOpによる
ビルディング・インフォメーション・
モデリングの分野横断的なコラボレーションと
デジタル・ツインの効率的なコラボレーション
2023 1.0 の新機能として、3D InterOp は Revit® ファイルに基点と測量点をインポートする機能を導入しています。
3D InterOpのRevit® Readerの拡張により、ユーザーは、プロジェクトの基点や測量点など、サポートされる共有座標をインポートすることができるようになりました。このような点をインポートすることで、分野間のコラボレーションを拡大し、RevitプロジェクトをBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)コラボレーションのワークフローに迅速に統合することができます。
また、2023 1.0 では、ビジュアライゼーション・ワークフロー用に glTF™ データを書き込む機能が導入されています。アプリケーション・ワークフローにおいてこの機能を利用し、コンパクトでクロスプラットフォーム、ウェブフレンドリーな出力であるglTF™にデータを変換、ランタイムを最適化した3Dアセットの利用で顧客をつかむことができます。
glTF™フォーマットは、「3DデータのJPEG」であると表現されています。仮想体験の中で3Dエンジニアリングデータを消費するワークフローにおいてglTF™データの書き込み機能の追加は大きな付加価値を与え、製品、生産システム、設備のデジタルツインの実現を可能にします。
エンジンの GLTF ファイル | エンジンの GLTF ファイル |
飛行機のGLTFファイル | タンクのGLTFファイル |
3D InterOpの新機能とファイルタイプのサポートに関する詳細についてはSpatialにご相談ください。また、以下のリンクから更にSDKの詳細を確認することができます。